2005年12月:R1200ST インプレ:by 煩悩

さあ金曜日。
残業が多く代休を取ってみたのは良いものの、前日も深夜帰りで結局目覚めは8時半。
天気は快晴で暖かいのは良いが、、、、目覚めるのが遅いよ。
子供会の行事に出かける家族の起床と時間が重なってあたふた。
結局家を出たのは9時45分。予定していた寸又峡温泉には当然行けそうもなく、結局行き先は伊豆。

インプレだから、まずはポジションから始めるか。
何回も書いているが、手を伸ばしたそこにハンドルが有る。
ハンドル幅も狭くて適度に絞られている。
変な垂角も付いていないし、車体が一回り小さく感じる。まるで本田CBR-6の様な感じだ。
(と言ってもCBR-6には跨った事すらないのだが、大体何故CBRなんだ?)
また、ハンドル高は高さの設定だけが確か25ミリ上下できる。絞り角調整はない。
デフォルトでは最も高くトップブリッジより上に設定しているが、最も低い位置でトップブリッジとほぼ面一。
何れにせよ、個人的にはBMとしてはこのハンドルは一般的になって良いのでないかと思う。
バイクのポジションには拘って乗って来た方だが、BMのポジションは自分にとっては今までかなり最低の
ランクだったのでね。
(変な垂角とかハンドルが遠いとか。。。まあ日本人にはやはり向いていないバイクなんだろうな)

それに反して、シートは何と言うか、国内仕様は薄っぺらのモノになってしまった。
本国仕様はノーマルで810ミリの高さのシートだが、日本仕様は780ミリ〜800ミリに対応させた結果だそうだ。
RSのシートが肉厚で長距離でもラクチンふかふかだったので、こんな薄っぺらで良いのか?と思ってしまう。
まあ厚さより硬さが問題なんだがね、バイクのシートは。

そうそう肝心の音は始動から他の人が殆ど気にならないくらい消音されている。
しかもオートチョーク。既に時代はバイクにも四輪みたいな小技を使わせる様になったのだな。
真冬の始動は有り難いのかどうなのかは現時点では不明。
恐らくアイドリングさせず直ぐに出発させるのを目的としているのだろう。
これも欧州の温暖化対策の指導に従ったのだろうね。
ただ十分に消音されているだけに、二気筒かどうかも解らない頼りない連続音。
この辺りは後々マフラー交換って事に後々なるのだろうね。

で走ってみる。
平日はスコーン!!と空いている海沿いR134を西進。
納車初日に感じていたのは1速と2速が離れている印象で、2速に入れると3000rpm以下には落とせない。
悪く言えば低速の無い印象だったが、どっこい2速の守備範囲は広い。
2速のままで100km/h位の巡航は可能。
しかもRSなら2速だとトルク変動によるギクシャク感が在るが、それが全く感じられない。
エンジン特性の問題なのだろうが、その辺りは上手く処理できているなと思う。
ほぼ2速たまに3速にUPしてそのまま西湘バイパスに突っ込む。
天気は良いのだが若干風が出て白波が立っている海を横目に3速5000rpm120km/hで流す。
ここでも3速で十分と言った感触。
排気量が上がった為か、ツインプラグのお陰か、日本国内を走る分には3速で十分ぢゃんという位に力のある
感じがありあり。

冬とは言えお天道様が顔を出しているので、寒さをあまり感じないままにターンパイク迄やってきた。
料金所手前のスペースに噂に聞いた貨車を利用したカフェが出来ていた。
が、何だかかつて夢見た煩悩パブの構想を取られたみたいな気がして覗く気もしない、、、。
500円也を払っていよいよワインディングにSTを突っ込む。
(実はターンパイクって嫌いなんだよね、事故が多いし、案外走りにくいし・・・)
料金払って直ぐの登り勾配を2速→3速に掻き上げ、すかさず現れる左高速コーナーを3速でクリア
していく。
この道路はあまり小さなコーナーは無く大体が中速から高速コーナーだが、3速に突っ込んだままで
十分立ち上がり加速をする。
短い区間で4速にするよりは、3速のままで引っ張った方が力が感じられるし、大体楽でもある。
ターンパイクのピークが大観望、そこでコーヒーブレーク。
ここまで丁度1時間。さすが平日は早い。

ここ迄来ると相当寒い。路面には僅かに凍結が融けた様な跡。
まさか日中に路面凍結はしないだろうが、十分に寒いと言うか冷たい。
誰も走っていない伊豆スカに突っ込み、ワインディング二本目。
たまにトラックやら自家用車やらが走るのを当然パスしていくのだが、RSと違って軽いので身の
こなしも車体を置きに行く様な感じは全く無く、右に出てアクセルを捻るだけ。
追い越し加速は本当に素晴らしい。
RSなら「どっこらしょ」と右車線に出て、「それ行け!」って感じでアクセルを捻らなければならず、
追い越しに或る意味覚悟が要ったからな。

本当にバイクの誰も居ない伊豆スカを冷川で下りて、戸田を目指す。
ここから国道を含めた一般道だが、やはり2〜3速も入れていると十分走れる。
戸田峠を越えて西側を走った人ならわかるが、かなりきつい下り勾配。
ここでも2速入れておけば後は目線を間違えない限り着実に思ったラインをトレースできる。
大体、2速が非常にコントローラブルなのでアクセルオンオフで激しいトルクの変動も無く、
挙動も安定して非常に乗りやすい。
しかも今までの水平対向(とは言ってもR259エンジンしか乗った事がないのだが・・)は右へ倒れ
る旋回性に反して左コーナーは上りも下りも若干のアンダーステアが残っており、大きな弧を描く様
に廻る必要があったが、こいつはそんな事は皆無。
クイックなハンドリングも以前の1100とは雲泥の差。
更にはインテグラルABSブレーキ。
ブレーキレバーを握っている間ずっとサーボ音がしてるのは最初気になっていたが、直ぐに慣れた。
それよりもこの制動力と制動時の安定感は抜群で、今まで前後連動なんてと言う思い込みは
乗った当初から覆ってしまった。
停めたい所でピタリと停まるのはやはり相当気持ちがいい。
攻める様な走り方で旋回時に掛けると後輪がロックするとか色々言われているが、基本的に旅
ペースの走り方だとこのブレーキは申し分ない程コントローラブルで良く効く。
まあこのブレーキユニットが壊れた時の事は想像したくないが。。。

戸田に着いた頃には既に天候は曇ってきていて寒くなった。
富士を見るには絶好のロケーションなのだが、海越しの富士山も見えない。
女房がこの日出勤だと勘違いして作ってくれた弁当を持参してきたので、ここで食す。

戸田からは若干南下して宇久須から天城牧場方面の狭い山道に突っ込む。
日本を旅するには1車線〜1.5車線程度のブラインドの狭隘路での実力を試して見たかったからだが、
直ぐに答えは出た。
その答えは高速のワインディングでもこんな山道でも、旅ペースなら同じペースで走れると言う事だ。
確かにワインディングを「攻める」走り方ならペースももっと高いだろうし、細かい部分で車輌の癖が
気になったりするだろうが、少なくとも下手の横好きのオヤジが自分の旅ペースで走る分には何の
不満もない。
狭い山道を出て強風吹きすさぶ仁科峠からは、新たに西伊豆スカイライン方面に新しい道が伸びて
いたので、快適に進む間に何時しか達磨山を経てまた戸田峠に。
そこから先は、R136から熱函道路、箱根峠、箱根新道と下り西湘バイパスからR134を乗り継ぐ。

R136の途中でシートアレンジを低いほうの780ミリに換えてみた。
私の身長だと膝の曲がりはきつくなるのだが、逆にハンドルが若干高く感じられるようになり、
昔のGPz-F系のポジションに似た感じになる。
このポジションで熱函道路を経て西湘バイパスの小田原パーキング迄走ってみたが、実はこちらの
ポジションの方が好みだったりする。
が、、、シートが高い方がクイックなハンドリングが得られるので、どちらもどちらだが。
ハンドルを低くしてのインプレは時間が無かったので行わず。
これはまた後日だな、、、。
で旅のほうはそのまま無事に帰宅予定時刻のジャスト17時に帰着。
因みに参考値だが、この日の燃費は18キロ/リットルだった。

初日約290km走ってみて大きな不満はさほど感じない。
ただこの日は高速に突っ込んで5速より上、5000rpmより上を廻していないので何とも言えないのだが、
納車からずっと感じているのは、下も上も回転数に関係なく二気筒らしさが完全に消されているという点。
軽量化とハイパワーでBMW自らが自ら築いてきたアイデンティティを壊しにかかっていて、極めて日本車に
近くなったのではと思うが、BMWに乗っても本田に乗っても一緒と感じてしまう様に、果たしてそれらの
個性まで消去してしまうのは良い事なのか、憂いべく事なのか。
その辺りの回答は高々数百キロ乗った位では答えが出ない。

それと、些細な事だがRSなんかに比べると若干フロント荷重が不足している気がする。
前輪の接地感が無いと言うのか、、、100km/H以上で走るとフワフワ頼りない感じがした。
今回予算的にパニアの購入を見送ったので(と言ってRSのパニアが流用できる訳でもない)パニアを搭載
して、基本的な長距離の荷物を搭載するとまた違った面が感じられるのでは無いかと思う。

まあ高い月賦払いで6年乗りつづける決意の上での「清水の舞台」だったので、不満があったとしても
直ぐに乗り換えも出来ないのだがね。

以上

2005/12/2 284.4km

**待て!!次号**